「催事(さいじ)」とは、百貨店などの商業施設で行われる、販売を伴う特別なイベントのことです。小売店が期間限定で商業施設に出店することを「催事出店」と呼びます。
催事出店には、さまざまなメリットがあります。この記事では、催事出店の魅力と具体的な出店方法について紹介します。すでに店舗運営している方や新規開店を目指している方など、多くの事業者にとってメリットがあるため、事業拡大の参考にしてください。
┃目次
┃百貨店やショッピングセンターのスペースを借りる催事出店
催事出店は、百貨店またはショッピングセンターの商業施設のスペースを借りて行われることが多くあります。百貨店とショッピングセンターにはどのような違いがあるのでしょうか。
催事出店の場所となる百貨店とショッピングセンター、それぞれの特徴は下記の通りです。
百貨店の特徴
百貨店とは、衣食住に関するさまざまな商品を取り扱う大規模な小売店です。経済産業省の「商業動態動向調査」と総務省の「日本標準産業分類」を踏まえると、百貨店は下記のように定義されます。
<百貨店の定義>
衣食住にわたる各種商品を扱う設備と応接要員を備え、各種専門店を配置
従業員が常時50人以上いる
売り場面積が特別区および政令指定都市で3,000平方メートル以上、そのほかの地域で1,500平方メートル以上
※経済産業省「商業動態統計調査の概要」
※総務省「日本標準産業分類 大分類I-卸売業、小売業」(2024年4月1日)
多くの場合、百貨店ではメーカーが商品と販売スタッフを百貨店側に提供して商品の販売を行います。その後、売上から原価を引いた金額が百貨店からメーカー側に支払われます。
メーカーが場所を借りて商品の販売をするのではなく、商品とサービスを百貨店に提供して差益を受け取るというビジネスモデルです。そのため、賃料ではなく売上に応じた費用がかかります。
■百貨店のビジネスモデル
なお、出店時の備品や什器は、百貨店側で用意するケースが多いため、内装などの自由度が低い一方、備品を用意するコストなどは抑えられる傾向があります。
ショッピングセンターの特徴
ショッピングセンターとは、複数の小売店をショッピングセンター運営者が管理するタイプの商業施設です。一般社団法人日本ショッピングセンター協会によると、ショッピングセンターは下記のように定義されます。
<ショッピングセンターの定義>
一体として開発や管理が行われる商業、サービス施設の集合体である
駐車場を備えている
店舗面積が1,500平方メートル以上
キーテナント以外のテナントが10店舗以上含まれる
キーテナントがある場合、その面積は全体の80%程度以下(そのほかの小売業のテナント面積が1,500平方メートル以上の場合を除く)
テナント会などによって、広告宣伝やイベントの共同活動を行っている
※一般社団法人日本ショッピングセンター協会「ショッピングセンター(SC)の定義」
ショッピングセンターは、小売業者が店舗の一部を借りて店舗運営し、ショッピングセンターはテナント料を受け取ることで利益を得る仕組みです。ショッピングセンターでは店舗運営する区画を自由にディスプレイしたり、小売業者の什器や資材を利用したりできます。ブランドの世界観を演出しやすい点は、ショッピングセンターのメリットです。
■ショッピングセンターのビジネスモデル
なお、ショッピングセンターでは以前の小売業者が使用していた内装、設備、什器などが残ったままの状態で借りられる「居抜き物件」を活用できる場合もあります。内装に大きく手を入れなくても開業できるため、工事費用や設備費用を抑えられます。
┃商業施設に催事出店するメリット
百貨店やショッピングセンターへの催事出店は、事業者にとってどのようなメリットがあるのでしょうか。ここでは、商業施設に催事出店するメリットをご紹介します。
認知度が向上する
商業施設で催事出店を行うことで、より多くのターゲット層に向けたアプローチが可能です。商業施設を訪れた人にお店を認知してもらえれば、催事出店の期間中だけでなく、その後の売上にもつながる可能性があります。
どれだけ魅力的な商品を取り扱っていても、ターゲット層に認知されなければ売上は上がりません。多くのお客さまが行き来する商業施設で催事出店することで、商品を知ってもらうきっかけを作れます。
売上が上がる
商業施設を訪れるお客さまは、何かしらの商品を買いたいと思っている場合が多いでしょう。そのため、期間限定の特別な催事出店が目にとまれば、物珍しさから購買意欲につながるケースは少なくありません。
催事出店が実績になる
知名度のある商業施設に出店した場合、出店の事実が実績になります。特に実店舗を構えていないECサイトで展開しているブランドやスタートアップのブランドの場合、「期間限定で◯◯に出店」といった実績をWEBサイトなどに記載することで、お客さまから信頼を得られる可能性があります。
新規開店などのプレスリリースを出す際も催事出店の事例を併記すれば、「すでに一定の実績を持ったブランド」というアピールが可能です。
┃催事出店するまでの流れ
商業施設に催事出店する手順や契約方法は出店先によって異なるため、事前に規約やスケジュールを確認する必要があります。不安な点や疑問点をきちんとヒアリングして、サポートしてくれる施設を選ぶと安心です。
最近は、WEBから問い合わせる施設が多いです。マルイ・モディのように、問い合わせから契約までをオンラインで完結できるサービスもあります。
■マルイ・モディの場合のポップアップストア出店の流れ
マルイ・モディでのポップアップストアの出店について詳しくは下記をご覧ください。
ここでは、商業施設に催事出店するまでの一般的な流れと各ステップでの確認事項などをご紹介します。
1. 出店先の事前調査
まずは、催事出店を行うエリアを決定します。候補地の商圏分析を行い、近隣の商業施設の確認やターゲット層のボリューム、時間や曜日ごとの人流などを確認するといいでしょう。
こうしたデータは、自治体のWEBサイトや国勢調査などから把握できます。また、実際に現地に赴いて人の流れを見るのも効果的です。
商圏分析については、下記の記事で詳しく解説していますのでご覧ください。
2. 出店先への問い合わせ
出店エリアの選定ができたら、出店を検討する商業施設へ問い合わせを行います。問い合わせをする際は、下記のポイントを確認しておくことをおすすめします。
<商業施設へ問い合わせる際の確認事項>
商業施設を訪れる人の年齢、性別などの属性
商業施設の訪問者数
出店の条件
出店の審査基準
そのほか出店にあたって不安な点や疑問点については、最初の段階でクリアにしておきましょう。
なお、出店にかかる費用は、多くの場合契約のタイミングで支払いが必要です。手元に資金がなくて費用の支払いができなかったり支払いが遅れてしまったりすると、契約ができない可能性があります。問い合わせの時点で、必要な金額を確認しておくと安心です。
3. 出店の契約
出店先を決めたら審査申込と審査を経て、催事出店の契約を締結します。
審査のための書類作成や審査には一定の時間がかかることもあるため、催事出店は余裕を持ったスケジュールで進めなければなりません。
4. 催事の開催準備
契約後は販売する商品の確保や顧客対応を行うスタッフの手配、ディスプレイに利用する機材の用意など、当日に向けて準備を進めます。
短期間の催事出店では、目につくような看板や商品のレイアウト方法も重要です。お客さまへアピールできる方法を模索しながら、準備を進めましょう。
┃効果的に催事出店を行うには出店場所の選定が大切
商業施設への催事出店では、認知度や売上の向上などさまざまなメリットがあります。メリットを最大化して効果的に催事出店を行うには、出店先の選定が重要です。
ターゲット層の訪れる商業施設への出店は大前提ですが、商業施設のサポート体制にも注目することをおすすめします。催事出店の目的を達成するために、不安なく出店できる商業施設を選びましょう。
『マルイの出店サービスOMEMIE(おめみえ)』は、マルイ・モディ店舗への「出店の検討に関するお問い合わせ・出店サポート・契約手続き」が、オンラインで完結できるマルイ独自のサービスです。
サイト上でお好きなスペースを選ぶことができ、短期間のポップアップストア(イベント出店)はもちろん、長期間の常設店舗の出店も可能です。食・ファッション・インテリアをはじめ、ライフスタイルサポートに関するサービスや、アニメ・ホビーなど幅広いカテゴリーの出店を募集しています。
担当者がしっかりサポートしますので、商業施設への出店が初めての方や、スタッフや設備、資金面などの不安を抱えている方も、ぜひ一度ご相談ください。