ポップアップストアの出店を検討していても、出店によるメリットや成功させるための施策など、具体的なイメージがわかない人も多いのではないでしょうか。ポップアップストアを出店する目的は多岐にわたり、目標とする成果も異なります。
この記事では、ポップアップストアの成功事例や、出店までの流れなどをご紹介します。ポップアップストアの出店を検討する際にお役立てください。
┃目次
┃ポップアップストアとは期間限定の店舗のこと
ポップアップストアとは、数日から数週間程度の期間限定で出店する店舗形態のことです。認知度の拡大やテストマーケティングのほか、ブランディングなどを目的として出店されることが多くあります。
常設店の場合、売上による収益確保のために運営される場合がほとんどでしょう。そのためポップアップストアと常設店では、運営の目的やゴールが大きく異なります。ポップアップストアを出店する際は、目的に合致しているかどうか検討することが大切です。
なおポップアップストアは、商業施設や駅構内に加え、レンタルスペース、商店街にある短期の貸店舗など、さまざまな場所で出店されます。ポップアップストアを成功させるためには、目的に応じた場所を選ぶことも重要です。
┃ポップアップストアの成功事例
ポップアップストアの出店を成功させるためには、成功事例が参考になります。ここでは商業施設のマルイ・モディで出店されたポップアップストアの成功事例をご紹介します。
インスタグラムのジュエリーブランドが客単価をネットショップの1.5倍に
インスタグラム発のジュエリーブランドである「Bride me」は、ブライダルアクセサリーなどを取り扱うネットショップです。オンラインだけではなく、実店舗の強みを活かした運営を行うべく、ポップアップストアを積極的に出店しています。
・ポップアップストア出店の目的
Bride meがポップアップストアを出店した目的は、「お客さまからの信頼を高め、競合ブランドとの差別化を図ること」「直接お客さまの声を聞いてニーズを把握すること」「ネットショップにとどまらない多角的な販売チャネルを持つこと」の3点です。
実店舗を出店することで、ネットショップではできないマーケティングを行うとともに、お客さまとの関係強化を目指しました。
・ポップアップストア出店で意識したこと
Bride meがポップアップストアを出店した際、市場トレンドやお客さまのニーズを把握するために、自社スタッフが店頭に立つことを意識していました。
またインスタグラム発のブランドということもあり、SNSを活用したポップアップストアの告知を積極的に実施。自社の強みを活かした集客で、お客さまの来店を促しました。
・成果
自社スタッフによる接客や商品の試着など、実店舗によるメリットが効果的に働き、ネットショップに比べて客単価を1.5倍にすることに成功。ネットショップとの相乗効果も生まれ、全体の売上も拡大するといった成果を得られました。
売上以外の成果は、情報の収集です。接客によって得られた情報はリアルタイムで本社チームに共有し、マーケティングに役立てられています。
Bride meの成功事例について詳しくは下記をご覧ください。
ネットショップを中心としたヴィンテージショップが新たな客層を開拓
ヴィンテージ商品を取り扱う「CARA VINTAGE & SELECT」は、ネットショップを中心に展開するセレクトショップです。元々はネットショップを主軸としていましたが、より幅広いターゲット層の獲得を目指して、実店舗も積極的に展開しています。
・ポップアップストア出店の目的
CARA VINTAGE & SELECTのポップアップストアの出店の目的は、常設店をオープンする前のテストマーケティングです。
すでに渋谷に実店舗を構えていましたが、出店エリア拡大のため、年齢層の幅が広くラグジュアリーなお客さまも多い、銀座・有楽町エリアへの店舗展開を検討。そこでテストマーケティングとして、有楽町マルイにポップアップストアを出店しました。
・ポップアップストア出店で意識したこと
ポップアップストアの出店に際しては、ポップアップストアでのテストマーケティング後に、常設店出店を視野に入れていたため、継続して常設店を運営できる場所を意識的に選びました。
また出店エリアに合った商品展開や、同じフロアのお店との親和性なども重視。例えば有楽町の店舗では、お客さまの年代や手に取った商品などを参考に、商品のラインナップをチューニングしながら展開しました。さらに古着を中心としたお店が多いフロアで出店した渋谷の店舗では、カジュアルな商品を主軸にします。
・成果
有楽町マルイ店にポップアップストアを出店した結果、新たな客層と出会えたことで、出店場所の選択肢が広がりました。若い層やインバウンドをメインのターゲット層として考えていたところ、ポップアップストアには想定よりも上の年代のお客さまが多く来店。その結果、オフィス街での店舗展開の可能性を見いだし、大きな成果が得られました。
なおCARA VINTAGE & SELECTは、ポップアップストアの出店後に有楽町マルイ店に常設店をオープンし、継続して運営を行っています。
CARA VINTAGE & SELECTの成功事例について詳しくは下記をご覧ください。
新潟発の洋菓子店はポップアップストアで出店予定エリアの人流を把握
カヌレ専門店の「Canelé de CHIANTI」は、レストランから派生した洋菓子店です。多彩なフレーバーが魅力で、本店は新潟にあります。
・ポップアップストア出店の目的
日本橋と六本木に店舗を構えているCanelé de CHIANTIは、新たに新宿エリアへの出店を検討するため、テストマーケティングとしてポップアップストアをオープンしました。
また自社スタッフを派遣せず、専門知識を持たない販売員による店舗運営が可能かどうか、ポップアップストアで試すことも目的の1つでした。
・ポップアップストア出店で意識したこと
Canelé de CHIANTIのポップアップストアでは、ブランドカラーを前面に出すことを意識して、陳列を工夫したりブランドコンセプトが伝わるショップカードを作成したりしました。
また専門知識を持たない自社以外のスタッフによる販売が可能かをテストするため、ショーケースから商品を選んでもらう従来の販売方法ではなく、箱詰め商品のみを販売する形式を採用しています。
・成果
ポップアップストア出店によって得た成果は、店舗展開を検討している新宿エリアの人流を確認できたことです。
さらに自社スタッフが不在の中で店舗運営をするためには、商品について説明する動画を活用したデジタル媒体での訴求などが必要であるといった気づきが得られました。
Canelé de CHIANTIの成功事例について詳しくは下記をご覧ください。
商工会がポップアップストアで地域事業をPRし、新規顧客へのアプローチに成功
長崎市北部の地域事業者で構成される「長崎市北部商工会」は、地域事業者に経営のアドバイスなどを行う総合経済団体です。長崎の逸品を紹介するためにポップアップストアを出店しました。
・ポップアップストア出店の目的
長崎市北部商工会がポップアップストアを出店する目的は、販路の拡大です。地域ならではの魅力的な商品を知ってもらう場を設けるため、ポップアップストアを出店しました。
・ポップアップストア出店で意識したこと
長崎市北部商工会が出店にあたって意識したことは、コストや人員をできるだけ抑えた出店場所の選定です。販売スタッフの派遣や什器の貸し出しなど、サポートが充実している出店先を選びました。
・成果
ポップアップストアの出店により、新たなお客さまへのアプローチや接点づくりに成功。初出店の結果をもとに、2回目の出店では、販促や出店規模の拡大を行い、4倍近い売り上げを達成しています。さらに接客中にネットショップの案内を行うなど、オンラインへの売上拡大にも貢献しました。
長崎市北部商工会の成功事例について詳しくは下記をご覧ください。
サブスクリプションサービスの体験を行い、費用対効果の高いプロモーションに成功
企業の顧客獲得を支援する「オイシックス・ラ・大地株式会社」は、プロモーションとして複数回ポップアップストアを出店している企業です。通行量が多く、商材のターゲット層に合いそうな場所を選定し、ポップアップストアを出店しています。
・ポップアップストア出店の目的
ポップアップストアの出店の目的は、オイシックス・ラ・大地株式会社が支援する、野菜ジュースのサブスクリプションサービスのプロモーションです。ターゲット層となる20代から50代の女性が多く訪れる出店先を選定しました。
・ポップアップストア出店で意識したこと
ポップアップストアの出店では、お客さまが足を止めて店舗スタッフと会話ができる環境を第一に考え、空間作りを行いました。
またオイシックス・ラ・大地株式会社と現場担当の企業とのあいだで、反省や改善点を定期的に振り返り、ポップアップストアでのパフォーマンスを検証。リピートの有無についても確認し、ポップアップストアの運営に活かしました。
・成果
比較的リーズナブルに出店できるマルイを選んだことで、コストパフォーマンスの高いプロモーションに成功。その後も複数のマルイ店舗へ継続的に出店し、効果的なプロモーション活動を行っています。
オイシックス・ラ・大地株式会社の成功事例について詳しくは下記をご覧ください。
┃ポップアップストアを出店するメリット
ポップアップストアの出店には多くのメリットがあります。ポップアップストアの出店により得られるメリットを見ていきましょう。
お店の認知向上
期間限定のポップアップストアは話題性が高く、お客さまの興味・関心を集めやすいことから、認知度の向上が期待できます。特にターゲット層が多く集まるエリアや、商業施設への出店は、認知の拡大や新規顧客獲得につながりやすいでしょう。
テストマーケティングとしても活用できる
ポップアップストアは、テストマーケティングとしても活用できます。新たなエリアへの出店を検討する際や、新商品を発売する前の試食・先行販売など、テストマーケティングとして効果的です。実際に商品やサービスを提供してお客さまの反応を確認できるため、ニーズの確認や改善点の発見に役立ちます。
■テストマーケティングのイメージ
テストマーケティングについては、下記の記事で詳しく解説していますのでご覧ください。
手頃なテナント料で出店できる
期間限定のポップアップストアは、常設店よりも手頃なテナント料で出店できる点がメリットです。大掛かりな内装工事も必要ないため、比較的手軽に活用しやすいでしょう。
┃ポップアップストアの出店の流れ
ポップアップストアを出店する手順や契約方法は出店先によって異なるため、事前に規約やスケジュールを確認する必要があります。ここではマルイ・モディを例に、ポップアップストアの出店の流れをご紹介します。
■マルイ・モディの場合のポップアップストア出店の流れ
1. 問い合わせ
まずはマルイ・モディのイベント出店専用フォームから問い合わせを行います。希望の出店日時や期間、エリアが決まっている方はもちろん、それらが未定の方も問い合わせが可能です。
2. オンラインで打ち合わせ
問い合わせ後は、専任スタッフとオンラインで打ち合わせを行います。多数のポップアップストア出店実績をもとにした、専任スタッフとの打ち合わせになるため、疑問点や不安点は打ち合わせ時に解消しておきましょう。
3. 出店プランの確定・契約
打ち合わせ後、出店プランを確定します。出店プランを決める際は、貸出什器や運営スタッフの有無のほか、メールマガジンによる販促支援を利用するか否かなどを確認します。
その後、契約に進み、事務手続きや出店準備を行いましょう。
4. 出店
契約後、商品などの前日搬入と当日設営を経て、ポップアップストアをオープンします。出店後も、必要に応じて専任スタッフによるサポートを受けられます。
┃目的に合わせてポップアップストアを活用しよう
期間限定で出店できるポップアップストアは、認知度向上やテストマーケティングのほか、お客さまのニーズの確認など、さまざまな目的で利用できます。自店舗の課題解決や今後の展開を検討するために、ポップアップストアを活用しましょう。
『マルイの出店サービスOMEMIE（おめみえ）』は、マルイ・モディ店舗への「出店の検討に関するお問い合わせ・出店サポート・契約手続き」が、オンラインで完結できるマルイ独自のサービスです。
サイト上でお好きなスペースを選ぶことができ、短期間のポップアップストア（イベント出店）はもちろん、長期間の常設店舗の出店も可能です。食・ファッション・インテリアをはじめ、ライフスタイルサポートに関するサービスや、アニメ・ホビーなど幅広いカテゴリーの出店を募集しています。
担当者がしっかりサポートしますので、ポップアップストアの出店が初めての方や、スタッフや設備、資金面などの不安を抱えている方も、ぜひ一度ご相談ください。