商圏人口とは、自社のターゲットとなる消費者が生活する圏内の人口です。店舗の出店を検討する際に、売上見込みを立てたり効果的なマーケティングを講じたりするためにも、商圏人口の把握が重要となります。
売上につながる店舗づくりをするために、商圏人口の調査と分析を行いましょう。
この記事では、商圏人口のカテゴリーや具体的な調査方法のほか、調査のメリットなどについて解説します。店舗出店を検討している方は、ぜひ参考にしてください。
┃目次
商圏人口とは店舗のターゲットとなる地域の人口
商圏人口のカテゴリー
商圏人口を調べる前に範囲を設定する
商圏人口の調べ方
商圏人口を調べるメリット
商圏人口を調べて店舗出店に役立てよう
┃商圏人口とは店舗のターゲットとなる地域の人口
商圏人口とは、店舗のターゲットになる消費者が生活する地域の人口です。店舗出店の前に商圏人口を把握することで、どの程度の売上を見込めるのかがわかります。
商圏人口の調査は、店舗出店を成功させるためのマーケティング施策の立案にも役立ちます。商圏人口を分析してそこで暮らす人々の生活スタイルや購買行動を知り、的確にニーズをつかみましょう。
自店舗の商材のターゲットとなる消費者が生活する商圏の範囲は、「徒歩で10～15分程度」「自電車で10～15分程度」など、仮定する条件により異なります。地域の特性や地形に加え、自店舗の性質を踏まえた上で商圏の範囲を決め、商圏人口を調査しなければなりません。
┃商圏人口のカテゴリー
商圏人口は、いくつかのカテゴリーに分けられます。それぞれの人口を調べることで、より深く商圏の特徴がわかります。
■商圏人口の調査イメージ
主なカテゴリーは下記の通りです。
人口推移
商圏人口の推移は、売上にダイレクトに影響する要素です。単年の人口だけを確認するのではなく、経年の推移を見ることで将来の商圏人口を推測できます。
人口が少ないエリアだったとしても右肩上がりに人口が増えていれば、将来的にも発展していく地域である可能性が高いと考えられます。反対に人口が減少しているエリアは、今後も減少が続いていくおそれがあるでしょう。このように商圏人口を確認する際は、経年推移の確認が必要です。
分類別の人口
分類別の人口とは、性別・年代などで区分した人口のことです。自社のターゲット層が商圏内にどれくらいいるのかを調べるのに役立ちます。
平日・休日の人口
店舗を出店する際には、平日・休日それぞれの人の流れを確認しておく必要があります。学生街やビジネス街など、エリアによっては人口や滞在している人の構成が平日と休日で大きく変わることがあるためです。
昼間・夜間の人口
昼間と夜間でも、人口や滞在している人の属性が変わることがあります。時間帯別の人口を知ることは、出店先に適しているか否かを確認するのはもちろん、営業時間を決める際にも役立ちます。
┃商圏人口を調べる前に範囲を設定する
前述の通り、商圏人口を調べる際には商圏の範囲を設定しなければなりません。商圏の範囲は店舗の所在地を中心に、「半径◯km以内」「徒歩◯分圏内」など条件を指定して定めます。
商圏の範囲設定に決まりはなく、自社の業態とエリアの特性に合わせて決める必要があります。
例えば店舗数の多いコンビニなどは近隣住民が対象になるため範囲が狭くなりますが、店舗数の少ないアパレル店などはより広範囲になることが想定されるでしょう。
指定した条件を基に店舗の所在地を中心にして地図上で円を描き、商圏の範囲を設定します。
■商圏の範囲を指定する場合の例
┃商圏人口の調べ方
商圏人口は、さまざまな方法で調べることができます。調査方法によってわかることが少しずつ異なるため、目的に応じて使い分けましょう。代表的な商圏人口の調べ方は下記の通りです。
行政要覧を参照する
行政要覧とは、行政で調査した地域の人口推移や年代ごとの人口構成比などの情報がまとめられた文書です。それぞれの地域の市役所や区役所、図書館などで閲覧できるほか、公式サイトで公開している自治体も多くあります。
また行政要覧をまとめたデータを販売している会社もあります。販売されているデータでは、全国のデータをわかりやすく整理された状態で確認することが可能です。
国勢調査を参照する
国勢調査は、日本国内に住んでいるすべての人と世帯を対象にした国の統計調査です。統計法という法律に基づいて、5年に一度行われています。
国勢調査の結果はインターネット上に公開されていて、全国の「年齢別人口」「家族構成別の世帯数」「働いている人の人口」「日本に住んでいる外国人の人口」などさまざまな情報が閲覧可能です。
都道府県・市区町村別の統計結果や推移なども確認できるため、商圏人口の把握や将来的な推移の予測にも活用できます。
※総務省統計局「国勢調査」
統計地理情報システムを活用する
統計地理情報システムとは、国勢調査などの統計データを地図とともに視覚化できるサービスです。人口などの情報を地図と重ね合わせて確認できるため、商圏人口の確認と分析に役立ちます。
統計地理情報システムの「地図で見る統計（jSTAT MAP）」では、主に下記の3つの機能を利用できます。
＜地図で見る統計（jSTAT MAP）の機能＞
・エリア作成：地図上でエリアを選択して商圏を設定する機能
・統計グラフ作成：国勢調査などのデータを選択して地図上に表示できる機能
・レポート作成：エリアごとの分析レポートを作成できる機能
上記の機能は、ユーザー登録をしなくても使える機能です。ユーザー登録をした場合は、利用者が作成したデータのインポートやデータ保存などが可能になります。
※総務省統計局「統計地理情報システム」
現地調査を行う
数字上の把握だけではなく、実際に商圏に足を運んで商圏人口の特性を確認することも大切です。「店舗の出店予定地やその近隣に立って、時間帯や曜日別にどのような人が滞在しているのかを探りながら、出店に適したエリアなのかを検討します。
忙しそうに行き交うだけの人が多いのか、遊びに来ている人が多いのかなど、実際に現地に足を運ぶことでさまざまな情報が見えてきます。https://www.e-stat.go.jp/gis
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┃商圏人口を調べるメリット
商圏人口の調査にはどのようなメリットがあるのでしょうか。商圏人口の調査で得られる主なメリットをご紹介します。
出店場所の検討に役立つ
商圏人口を調査して商圏の特徴などを把握できれば、出店場所を検討する際の材料となります。店舗出店のエリア選定において、何を指標にしたらいいのかわからない方もいるかもしれません。
「人口推移」から出店エリアに適しているかがわかったり、「分類別の人口」からターゲット層が集まるエリアなのかがわかったりします。
また「駅の近くに多くの人が集まるエリアだから駅前の商業施設へ出店しよう」「ランチ営業をしたいけど昼間は人出が少ないから不向き」など、出店場所を検討する際の参考になるでしょう。
潜在顧客の行動やニーズを把握できる
商圏人口を調べることで、潜在顧客の行動やニーズを把握できます。店舗運営における戦略に役立つことはもちろん、お客さまのペルソナを詳細に設定することが可能です。
詳細なペルソナを設定するとお客さまが何を求めているのかが明確になり、サービスやマーケティングの指針になります。
従業員とペルソナを共有すれば共通意識を持って店舗運営ができるため、サービスの質も向上すると考えられます。
効果的なマーケティング施策を立案できる
商圏人口を細かく分析していけば、効果的なマーケティング施策の立案が可能です。例えば商圏全体の中でも特に人口が多いエリアで重点的にチラシのポスティングを実施することで、多くの人に効率良くチラシを届けられます。
また休日に若年層が多くなるエリアであれば、該当する年代に人気のSNSで休日限定のキャンペーンを告知するなどの施策も効果的かもしれません。
マーケティング施策はコストも労力もかかります。商圏分析を基にすれば、効率良く多くのターゲット層に刺さるアプローチができるのではないでしょうか。
競合を見極められる
商圏人口を分析すると、競合になりうる他社の存在もわかってきます。ライバル店の動向を知ることは、自社の経営方針やマーケティング手法を決定する際の重要なポイントです。
商圏内の競合他社にはない強みを打ち出したり、競合他社を上回るメリットを顧客に提供したりといった施策を立案する材料になります。
┃商圏人口を調べて店舗出店に役立てよう
店舗出店を検討する際は、候補地の商圏人口や商圏の特徴を調査する必要があります。
商圏人口を知ることで、自社のターゲット層になる人々が暮らしているのかがわかるのはもちろん、出店後にもマーケティングを効果的に行えます。店舗出店を検討している方は、商圏人口の分析データを活用してみはいかがでしょうか。
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この記事は株式会社丸井のテナントサクセス推進室が監修しており、出店の際にわかりやすく役に立つ記事を目指しています。
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監修：OMEMIE編集部
2024-03-01
更新日：
/
2024-03-01
公開日：
|
OMEMIE編集部
