実店舗のメリットとは?ネットショップとの違いや連携について解説
- OMEMIE編集部
- 2024年2月1日
- 読了時間: 12分
更新日:3月31日

近年、急激に成長しているネットショップですが、数が増えればライバルもその分多くなります。今後の成長には、ライバルショップとの差別化が必須といえるでしょう。
差別化の方法はさまざまですが、効果的な方法のひとつに「実店舗の活用」があります。この記事では、実店舗のメリットに加え、ネットショップとの連携で新たな価値を生み出す方法について解説します。
┃目次
┃ネットショップ事業拡大のための実店舗運営
ネットショップ市場は、右肩上がりの成長を続けています。しかし市場はある程度まで成長すると、「オープンしただけでは売上につながらない」「ライバル店の中で選ばれるショップになるための施策が必要」といった問題が出てきます。
ネットショップの事業拡大のためにできる施策はいくつかありますが、そのうちのひとつが「実店舗展開」です。
「せっかくコストを抑えてネットショップをやっているのに、実店舗を運営する意味なんてない」と感じる方もいるかもしれません。
しかし、実店舗とネットショップはまったく違う形態であるからこそ、それぞれの不足を補い合える関係にあるといえます。
IT技術の進歩によって、ネットショップと実店舗を連携させたサービスも実施しやすくなりました。
ネットショップと実店舗を並行して運営し、一段階上のサービスを提供することで、事業の拡大を狙えます。
ネットとリアルの壁をなくした融合型店舗は、今後の小売の理想形といえるでしょう。
┃オフラインとオンラインが融合する「OMO」
OMOとはOnline Merges with Offlineの略で、日本語に直すと「オンラインとオフラインを併合する」という意味になります。
オフラインの実店舗とオンラインのネットショップとの垣根をなくし、融合させるマーケティング手法です。
実店舗とネットショップは、それぞれ特徴やメリットが異なります。
両方の良さを活かして補い合えれば、どちらかしか運営していないお店にはない独自の強みになるでしょう。
大企業はもちろん個人店でも、オンラインショップと実店舗の両方を構える事業者が増えています。
それぞれの強みを理解してうまく併用していくことが、成功のカギとなるのではないでしょうか。
OMOの考え方に基づいたマーケティングには、下記のような方法があります。
<OMOに基づいたマーケティングの例>
実店舗とオンラインショップで共通のポイント制度を作る
実店舗やオンラインショップの顧客情報を統合して、より良いサービス提供を行う
実店舗に来店したお客さまの意見をオンライン施策に役立てる
スマートフォンを使ったオンライン決済を行う無人レジ
実店舗に来店しているかのように質問できるチャットボット
ネットショップも実店舗も、同じようにお客さまとの接点のひとつです。
オンラインかオフラインかにかかわらず、「お客さまの購買体験を高めることを第一に考える」のがOMOです。
■OMOのイメージ

O2Oとの違い
OMOと似た言葉に「O2O」があります。O2OはOnline to Offlineの略で、オンラインからオフラインにお客さまを送るための手法です。
O2Oの主体はあくまでもオフラインのため、「どちらかを重視したり区別したりすることなく、双方を融合させる」という考え方のOMOとは異なります。
■O2Oのイメージ

┃OMOのメリット
OMOの考え方にもとづいたマーケティングには、どのようなメリットがあるのでしょうか。続いては、OMOを導入するメリットをご紹介します。
お客さまの体験価値の向上
「実店舗だけ」「ネットショップだけ」という方法では叶えられなかったお客さまのニーズに応えることで、お客さまの体験価値の向上を実現できる点が、OMO導入のメリットです。
実店舗には在庫がなかったサイズの商品をネットショップで購入したり、ネットショップで気になった商品を実店舗で試着して購入したりといった例が挙げられます。
LTVの最大化
LTVとは「顧客生涯価値」のことで、一人のお客さまが生涯にもたらす利益の総額です。
OMOを導入することで、前述した「お客さまの体験価値の向上」をもたらし、結果としてLTVの最大化に役立ちます。
また、ネットショップと実店舗を併用したお客さまの方が、ネットショップのみ利用のお客さまと比べて、「継続利用率」1.9倍、「購入額」1.13倍、「購入率」2.5倍という調査結果もあります。
■「ネットショップのみ」「ネットショップと実店舗の併用」の比較

なお、LTVの算出方法はさまざまですが、代表的なものとして下記の方法が挙げられます。
<LTVの計算式>
LTV=平均購入単価×粗利率×平均購入頻度(回/年)×平均継続期間(年)
利便性向上
OMOを導入することで利便性が向上し、お客さまがサービスを利用しやすくなります。
利便性を向上させる施策の例は、下記の通りです。
<利便性向上の施策の例>
実店舗とオンライン共通のポイント制度の導入やクーポンの付与
実店舗とオンラインを区別しない情報管理
例えば、「前回購入した基礎化粧品」の情報が実店舗でもオンラインでも共通で管理されていれば、実店舗を訪れたお客さまに「◯◯の使い心地はどうですか」といったヒアリングができたり、オンラインで類似商品の案内ができたりします。
┃実店舗とネットショップの違いはコスト面や接客方法
実店舗とネットショップは、特性がまったく異なります。それぞれの特性を理解して、うまく併用していくことが大切です。
■実店舗とネットショップの違い
項目 | 実店舗 | ネットショップ |
費用面 | 高コスト | 低コスト |
集客方法 | オフラインマーケティング、オンラインマーケティング | オンラインマーケティングがメイン |
時間と場所 | 店舗の営業時間、場所が限定的 | ネット環境があれば時間と場所を問わない |
接客方法 | 対面で直接的なコミュニケーション | チャットボットやメルマガなど間接的なコミュニケーション |
各項目について、下記で詳しく解説していきます。
費用面
初期費用とランニングコストのどちらも、実店舗のほうがネットショップよりも高額になります。
実店舗は家賃や光熱費などさまざまな費用がかかりますが、ネットショップの場合、利用料の安いサービスを利用すれば費用を抑えることが可能です。
実店舗、ネットショップの運営にかかる費用の例をご紹介します。
<実店舗の運営にかかる費用>
店舗を借りる際の初期費用
家賃
店舗のリフォーム代
展示棚などの設備費
スタッフの人件費
水道光熱費
備品代 など
<ネットショップの運営にかかる費用>
インターネットの通信費
パソコン代
梱包代
ネットショップのサービス利用料 など
なお、仕入れや商品の保管にかかる費用などは共通コストです。
集客方法
集客方法には、「オフラインマーケティング」と「オンラインマーケティング」の2種類があります。
実店舗はどちらも活用できますが、ネットショップはオンラインマーケティングがメインとなります。
それぞれの代表的なマーケティングの手法は、下記の通りです。
■オフラインマーケティングとオンラインマーケティングの例
マーケティングの種類 | マーケティングの手法 |
オフラインマーケティング | チラシの投函、新聞の折り込みチラシ、看板、のぼり、ポスター、地域情報誌への広告掲載、SNSなど |
オンラインマーケティング | SEO、WEB広告、SNS、動画広告、オウンドメディアでの情報発信 など |
実店舗には、エリアに特化したオフライン施策を実施しやすいというメリットがあります。
立地のいい場所や商業施設の中に実店舗を構えていれば、通りすがりのお客さまや、別の目的で商業施設を訪問したお客さまにもアピールが可能です。
オンラインマーケティングでは、WEB上で幅広くアプローチできる一方、無数の競合が存在するため、一定の知識とノウハウが必要になります。
時間と場所
実店舗とネットショップの大きな違いのひとつは、お客さまが利用できる時間と場所です。
実店舗は店舗の営業時間中、現地にいる人だけが利用できるサービスのため、時間と場所が限定されます。
ネットショップの場合は、インターネットを利用できる環境であれば、時間や場所を問いません。
接客方法
実店舗とネットショップの違いとして、接客方法が挙げられます。
実店舗では、対面でのコミュニケーションが可能です。お客さまのお悩みや疑問に寄り添ったアドバイスができるため、売上につながりやすいといえるでしょう。
また、適切な情報を提供することで、お客さまの満足度も高められます。
一方、ネットショップでは直接接客ができません。お客さまが自分のペースで商品を検討しやすいというメリットがある反面、離脱にもつながりやすくなります。
そのため、チャットや問い合わせのサービスを充実させたり、必要な情報をわかりやすく記載したりして、お客さまのお買い物をサポートする施策を検討しなければなりません。
┃実店舗とネットショップ、それぞれのメリット
実店舗とネットショップには、それぞれメリットがあります。ネットショップの事業展開を図るためには、両者のメリットを活かした運営方法の検討が必要です。
ここでは、実店舗とネットショップ、それぞれのメリットをご紹介します。
実店舗のメリット
実店舗には、その場で商品を手に取れるという大きなメリットがあります。詳しい内容は、下記のとおりです。
商品を実際に手に取って体験できる
アパレル商品や食品、香りのある商品などを実際に試せるのは、実店舗ならではの魅力です。体感しなければわかりにくい特徴もその場で確認できます。
思いがけない商品に出合える
お店の中を見て回ることで、思いがけない魅力的な商品に出合いやすくなります。お店を見ること自体を楽しんでもらえたり、より良い商品を見つけてもらえたりするかもしれません。
欲しいときにすぐに商品が手に入る
「欲しい」と思ったそのときに、商品を買えることも実店舗の魅力です。購入を決めてから入手までに時間がかからない点は、顧客満足度が高いサービスといえます。
返品・交換などのサービスが受けやすい
レシートや領収書があれば、その場で交換や返品が可能です。返送や振込といった手間がありません。
対人サービスを受けられる
気になる商品の説明を聞いたり、特定の条件を満たす商品を教えてもらったりといった対人サービスを受けたいときは、気軽にスタッフと会話できる実店舗が適しています。
ネットショップのメリット
ネットショップには、時間や場所の制限がないという大きなメリットがあります。詳しい解説は下記のとおりです。
時間や場所に制限がない
24時間どこからでもアクセスできるネットショップは、時間や場所に制限されずにサービスを提供できます。
営業時間や立地によって購入機会が失われることがない点は、ネットショップのメリットといえます。
初期費用・固定コストが抑えられる
ネットショップは、初期費用やランニングコストの少ない運営方法です。小規模なサイトなら、販売手数料のみで初期費用や固定費をかけずにオープンすることもできます。
一定以上の規模のサイトの場合、月に数万円から数十万円程度で運営できる場合が多いでしょう。無料で利用できるASPカートシステムも複数登場しているので、気軽に始められます。
┃ネットショップから実店舗展開で成功した例
ネットショップが実店舗展開を行った場合、どのような成果があるのでしょうか。実例をご紹介します。
Bride me:インスタ発のジュエリーブランド
InstagramなどSNSの集客施策を中心に、ECに特化した事業を行ってきたジュエリーブランド「Bride me」。
お客さまからの信頼づくりや販売チャネルの多角化、お客さまとの接点づくりなどを目的に、実店舗でイベント出店しました。
その結果、接客の気づきをリアルタイムに共有したり、リアルとネットの相乗効果につながったりといったメリットを得られました。
Bride meの実店舗展開については、下記の記事をご覧ください。
CARA VINTAGE & SELECT:インターネットコンテンツ中心の運営を行っていたセレクトショップ
EC販売を中心にシェア拡大を目指していた「CARA VINTAGE & SELECT」は、新たな客層や年齢層のお客さまとの出会いを目的にイベントを実施。
これまでのターゲット層になかった年代のお客さまから多くのリアクションがあり、「幅広い層へアプローチできる商材」という気づきを得ます。
出店戦略や出店場所の選択肢の幅が広がる、大きな一歩となりました。
CARA VINTAGE & SELECTの実店舗展開については、下記の記事をご覧ください。
┃実店舗とネットショップのメリットを活かした運営を目指そう
ネットショップ事業の拡大の一手として、実店舗とネットショップの連携があります。それぞれのメリットを活かし、バランス良く運営することが小売店における理想の形です。
今後の事業展開や事業の拡大方法にお悩みの方は、ネットショップにとどまらず実店舗運営を検討してみてはいかがでしょうか。
「実際に商品を手に取れる」「決定から購入までのタイムラグがない」といった実店舗ならではのメリットをお客さまに提供することで、新たな価値を生み出せます。
また、お客さまとリアルの接点を持つことは、今後の事業展開にも役立てられるでしょう。
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