飲食店開業の資金相場や内訳は?初期費用削減や資金調達のコツを解説
- OMEMIE編集部
- 2024年4月29日
- 読了時間: 11分
更新日:8月13日

飲食店を開業するには、物件を用意するための費用や設備資金、運転資金などさまざまな費用がかかります。飲食店を開業する際は、あらかじめ用意する資金の目安や資金調達の方法を把握し、準備を進めることが大切です。
この記事では、飲食店の開業資金の内訳や調達方法、費用をできるだけ抑えるためのポイントなどを解説します。これから飲食店の開業を目指している方は、資金計画を立てる際の参考にしてください。
┃目次
┃飲食店の開業資金の内訳
飲食店の開業には、さまざまな資金が必要です。内訳を事前に把握しておけば、計画的に資金調達ができたり削減できる部分に気づいたりできるため、投資額を抑えられる可能性があります。
飲食店の開業資金の主な内訳は、下記の4つに分けられます。
<飲食店の開業資金の主な内訳>
物件取得費用
店舗の設備費用
運転資金
自身の生活費
まずは、それぞれがどのような費用なのかを確認していきましょう。
物件取得費用
物件取得費用とは、飲食店をオープンする物件を用意するための費用です。物件を借りる場合は「保証金・敷金」「礼金」「仲介手数料」など、物件を購入する場合は「購入費用」、自宅を改装する場合は「リフォーム代」といった費用がかかります。
物件を借りる場合は、一般的に家賃の10倍程度の資金を用意しておくといいとされています。
店舗物件を借りる際の「保証金・敷金」は、賃料の2~10ヵ月分と住居用物件に比べて高額になることが多いため注意してください。ただし、通常は退去時に償却分を差し引いた保証金と、原状回復費用を差し引いた敷金が返還されます。
物件の購入やリフォームを行う場合の費用は、物件の条件や立地、内外装工事の規模によって大きく変わります。見積もりを取ったり不動産会社に相談したりして、費用の確認が必要です。
店舗の設備費用
飲食店を開業するためには厨房設備やテーブル、椅子、照明などを用意しなければいけません。また看板や外壁、内壁、床などの内外装工事や、配管工事などが必要になることもあります。
店舗の設備費用は、必要な工事の内容やそろえなければならない設備に応じて決まります。出店する物件にどの程度手を入れる必要があるのかを検討し、個別に見積もりを取って確認することが大切です。
運転資金
運転資金とは、飲食店の開業後、事業が軌道に乗るまでの期間に必要な資金です。運転資金も開業資金として用意する必要があります。
飲食店をオープンしたからといって、すぐに繁盛するとは限りません。知名度が上がり、客足が安定するまでには時間を要することも多く、それまでは赤字経営になってしまうことも珍しくはないのです。
事業が軌道に乗って黒字化するまでには6ヵ月以上かかるともいわれています。運転資金が不足すれば事業を続けられなくなってしまう可能性もあるため、運転資金を必ず用意しておきましょう。
具体的な運転資金の目安は、固定費やオープン後の見込み売上などに応じて決まります。飲食店の固定費は下記の通りです。
<飲食店の固定費の例>
賃料
光熱費
人件費
仕入れにかかる費用
必要に応じて広告費
固定費は売上がなくても、店舗を運営するためには必ず支払わなければならないお金です。
例えば「オープンから6ヵ月、売上が目標の半分しか達成できなくても営業を続けられるように備えておきたい」という場合は、最低でも3ヵ月分の固定費を準備しておくと安心です。
自身の生活費
飲食店を営む場合、自身の生活費についても考えておかなければいけません。
生活費を飲食店経営でまかなえるだけの売上が最初から得られるとは限らないため、ある程度の備えが必要です。運転資金と同様に、事業が軌道に乗るまでの6ヵ月間を目安に考えておくといいとされています。
必要な金額は、それぞれの家庭によって異なります。現在の生活費を確認し、6倍した額を開業資金に組み込んでください。
┃飲食店の開業資金を調達する方法

飲食店の開業資金は、自己資金または外部からの資金調達で用意します。
自己資金が潤沢にある場合は問題ありませんが、自己資金が不足していたり、開業後の運転資金や生活費に不安があったりする場合は、外部から資金調達をして開業を目指します。
外部からの主な資金調達方法は、下記の通りです。
金融機関から融資を受ける
民間の金融機関や日本政策金融公庫では、事業者への融資を行っています。
飲食店を開業するときは、地域の信用金庫や都市銀行で口座を開設するケースが多く、その場合は融資が受けられないか相談できます。
また、公的機関である日本政策金融公庫から融資を受けることも可能です。
無担保・無保証人で利用できる「新創業融資制度」では、要件に該当していれば3,000万円までの借入ができ、利率も一般的な民間の金融機関よりも低めに設定されています。
※日本政策金融公庫「新創業融資制度」
補助金や助成金を利用する
飲食店の創業や事業継続に必要な資金は、自治体の補助金や助成金で調達することもできます。
「創業助成金」や「企業支援事業」など、自治体ごとに支援が異なるため、開業予定の地域の制度を確認しましょう。東京都であれば、「創業助成金(東京都中小企業振興公社)」などが該当します。
※東京都産業労働局 東京都産業NET「創業助成金(東京都中小企業振興公社)」
クラウドファンディングを活用する
飲食店の開業資金の調達には、クラウドファンディングを活用する方法もあります。
クラウドファンディングは、実現したい目標をWEBサイト上で公開し、支援者から資金を募る仕組みです。
クラウドファンディング専用のWEBサイトを利用するため一定の手数料がかかりますが、融資や補助金、助成金に比べて満たすべき要件が少なく、手軽に利用しやすい点がメリットです。
数多くのクラウドファンディングが実施されている中で資金を募るには、それだけの魅力が必要です。
SNSなどで多くのファンを集めているインフルエンサーが開業する場合や、オープン予定の飲食店に特徴的な魅力がある場合などは、順調に資金が集まるかもしれません。
しかしクラウドファンディングでは、思ったように資金を集められない可能性も考えられます。
資金調達を成功させるには、支援者へのリターンや発信方法を工夫するなどのテクニックが必要となるでしょう。
┃飲食店の開業資金の相場
飲食店を開業するにあたって必要な資金は、店舗の規模や地域、業態、設備などによって大きく異なりますが、一般的な目安としては1,000万円程度といわれています。
日本政策金融公庫総合研究所「2023年新規開業実態調査」の開業に関する調査では、2023年度の開業資金の平均は1,027万円、中央値は550万円でした。開業資金ごとの分布割合は下記の通りです。
■2023年度の開業資金の分布
開業資金 | 割合 |
---|---|
250万円未満 | 20.2% |
250万~500万円未満 | 23.6% |
500万~1,000万円未満 | 28.4% |
1,000万~2,000万円未満 | 18.8% |
2,000万円以上 | 9.0% |
※日本政策金融公庫総合研究所「2023年新規開業実態調査」(2023年11月)
また、開業資金の平均値・中央値は、ゆるやかに少額化されている傾向が見られます。
250万円未満での開業も20%を超えるため、資金がそれほど多くなくても開業を実現している事業者もいるようです。
ただし、これはあくまでも開業する事業全体の数字で、飲食店に限ったデータではありません。
前述の通り、飲食店では厨房の設備や客席などを用意しなければならず、開業資金も高額になる傾向があるため、余裕を持った資金調達を心がけると安心です。
┃飲食店の開業資金を抑えるためのポイント
飲食店の開業資金の調達で融資を利用できたとしても、その後、返済していかなければいけません。
店舗経営をしながら返済を行っていくことになるため、開業資金はできるだけ削減できるように工夫が必要です。
続いては、飲食店の開業資金を抑えるための方法をご紹介します。
居抜き物件を借りる
飲食店の開業資金が高額になる理由のひとつに、厨房設備や配管工事などの設備費用が挙げられます。
こうした設備費用を抑えるためには、居抜き物件の活用が効果的です。
居抜き物件とは、以前の店舗が使用していた内装、設備、什器などが残ったままの状態で借りられる物件のことです。飲食店が利用していた店舗なら、内装に大きく手を入れなくても開業できるため、工事費用や設備費用を抑えられます。
居抜き物件の利用によって抑えられるのは、工事費用や設備費用だけではありません。工事にかかる期間も大幅に短縮できることから、賃料負担も抑えられます。
例えば工事に3ヵ月、それ以外の準備に1ヵ月、合計4ヵ月の準備期間が必要な物件で、工事期間を1ヵ月に短縮できれば、それ以外の準備期間と合わせて2ヵ月で開業が可能です。
よって、準備期間の賃料を4ヵ月分から2ヵ月分に削減できます。
居抜き物件であれば、家賃負担を軽減できる可能性が高いため、開業資金を抑えられるのです。
居抜き物件のメリット

マルイでは内装や設備が残った状態で借りられる、居抜きスペースの紹介を行っています。
さまざまな特徴の居抜きスペースがあり、『マルイの出店サービスOMEMIE(おめみえ)』でオープン予定の店舗に合った物件をお探しいただけます。
マルイがおすすめする居抜き物件について詳しくは下記をご覧ください。
事業計画を見直す
事業計画とは、開業費用の予算や開業後の売上予測、運転資金の予測などを細かく試算することです。
それらをまとめた事業計画書は、金融機関などから融資を受ける際に必要になります。
開業資金が想定をオーバーしてしまったときは、事業計画が適切ではない可能性があります。
設備や仕入れにお金をかければ希望に沿った店舗を作りやすくなりますが、資金繰りがうまくいかなくなるようでは問題です。
開業資金を抑えるには、事業計画を見直して無理のない予算の範囲内での開業を目指すこともおすすめです。
例えば「お金のかかる外装からシンプルな外装にする」「内外装業者を変更する」「メニュー数を減らして小規模からスタートする」といった方法が考えられます。
店舗物件の条件を見直す
店舗物件の賃料を下げることができれば、初期費用や運転資金を削減できるため、開業資金を抑えられます。
一度決めた店舗物件の条件にこだわらず、条件を見直すことも大切です。
賃料は、店舗を出店するエリアや店舗面積によって大きく変わります。
都市部の駅前に広々とした店舗を構えれば、それだけ目立つため集客も見込めるかもしれません。
しかし固定費は高くなってしまいます。
事業を継続していくためには、コストと売上見込みのバランスをとりながら営業をしなければいけません。確保したい席数と集客見込み、運転資金をまかなうために必要な売上などを想定した上で、予算に合った出店場所を選びましょう。
なお、物件の中には、敷金や礼金がかからない物件もあります。
例えばマルイにはテナント契約の際に、敷金の代わりにクレジットカード会社が借主の保証を行うサービス「敷金ゼロプラン」があります。
そのため、開業資金を抑えることができ、駅の近くなど好立地のテナントに出店が可能です。
マルイの敷金ゼロプランについて詳しくは下記をご覧ください。
店舗の設備はリースやアウトレット品を活用する
店舗の厨房機器などをリースやアウトレットで用意すれば、新品で買いそろえた場合に比べて初期費用を抑えられます。
リースとは、リース会社が保有する家具や設備などを毎月定額のリース料を支払って利用する方法のことです。
契約期間は任意で決められるため、長期リースにすればそれだけ月々の費用負担も抑えられる可能性があります。
ただし、リース期間満了前に契約を解除すると、解約料が発生する場合もあります。
サービス内容をしっかりと確認した上で利用してください。
┃飲食店の開業資金の削減方法を知り、余裕を持った計画を立てよう
飲食店をオープンする際は、物件や設備にかかる費用だけでなく、売上が軌道に乗るまでの運転資金や生活費なども必要になります。
できるだけ費用を抑え、余裕のある開業資金の計画を立てましょう。
開業資金を抑えるためには居抜き物件の活用や、敷金・礼金がかからない物件なども検討してみてください。
『マルイの出店サービスOMEMIE(おめみえ)』は、マルイ・モディ店舗への「出店の検討に関するお問い合わせ・出店サポート・契約手続き」までが、オンラインで完結できるマルイ独自のサービスです。
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コストやサービスについての詳しい資料は、当ページ下部よりダウンロードいただけます。
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